闇の貴族


アン アサシン


新堂先生の二作目「闇の貴族」を読み終えた。処女作「血塗られた神話」からはかなりの描写力アップが伺える。「溝鼠」より前に波平頭(カット)が初めて登場していたとは…。

今回は殺しについて読者を納得させようと、特殊に訓練された殺し屋とやくざの違いを力説している。「悪の華」のマフィオソに近いものが伺える。素人が銃を撃っても、よほどの至近距離でないと当たらない。つまりこれはそこいらの暗黒小説とは一線を画しているのだ、と。新堂先生はここらへんに多くの情報をつぎ込み、納得させるのが巧みだ。

ストーリーもなかり先が読めない展開で、闇金の切り取りなんてほんの序章に過ぎない。かなりのボリュームで一気に読ませていただいた。なかなか良かったです。後半の壮大に膨れあがる裏社会事情も楽しませていただきました。これにて一通り新堂作品読ませて頂いたわけだが、改めて深みにはまってしまった。

Posted: 日 - 1月 11, 2004 at 02:31 午前          


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