銀行籠城


銀行籠城


新堂冬樹の最新作「銀行籠城」を読み終えた。新堂先生のインタビューによると、先生の作品の登場人物はそれぞれ何らかのスペシャリストとして描かれていると言う。こないだの「ある愛の詩」のイルカに乗った青年・拓海は、おそらく「純粋」のスペシャリストだろう。そして今回の主人公五十嵐はまさしく銀行籠城のスペシャリストだった。

新堂作品におけるトチ狂った行動に走りがちな主人公級の人物は、必ずと言って良いほど幼少時代に酷い家庭環境で育ち、親から非道い仕打ちを受け、虚ろの冥い眼をしてる。たまにフラッシュバックで当時を思い起こすが、そのまま心の奥に底なしの闇を封印をする。

百歩譲ってこれは物語の世界にしても、やはり家庭環境ってものは、人格を形成する重要なファクターの一つである事は間違いない。俺も今こうして、底なしの闇の中でトチ狂う事も無く、好きな事をやって暮らせていけるのも家族のおかげです。

Posted: 月 - 3月 22, 2004 at 02:31 午前          


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