ティモレオン センチメンタル・ジャーニー


TIMOLEON VIETA COME HOME


イギリスのダン・ローズ著「ティモレオン ーセンチメンタル・ジャーニー」を読み終えた。ティモレオン・ヴィエッタとはゲイの老人コウクロフトが飼っている犬の名前だ。最初のページで雑種犬ティモレオン・ヴィエッタの瞳が少女の様に可愛らしいという描写に惹かれて買ったら、主人公がゲイの老人だったので困惑した。

だが読み進めていくうちに、ティモレオンはコウクロフトに捨てられ、イタリア放浪の旅をする事となった。そして次々と物語の主人公が変わっていった。するとこの作者のシニカルな部分が見えてきて一気に引き込まれた。

いくつもの物語の間をティモレオンが顔を出していく。最後はカンボジアのある家族の物語にまで飛び火したが、その収拾の付け方も面白く、読者はただ期待を裏切られまくり、一喜一憂して読み進めるしかできない。最後のオチはアレだが、作者的には冷笑して欲しい所なのだろう。素晴らしき発想と構成力に惹かれ、このダン・ローズって人の虜になった。一言で言うなら「上手い」かな。

Posted: 土 - 3月 20, 2004 at 02:31 午前          


©